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倉庫の熱中症対策はどうする?夏場の倉庫内を快適空間にする方法とは

日本の夏は年々暑くなり、長くなっています。冷房の効いた部屋ですら暑く感じることがありますが、風通しのよくない倉庫での暑さ対策は万全でしょうか。夏場の倉庫は熱がこもりやすく、作業員は常に熱中症の危険にさらされています。しかしながら、空調設備を導入するとなるとコストがかかりますし、工事の関係で倉庫が使えなくなるなど、さまざまな問題が考えられます。今回は、倉庫内での熱中症対策について解説します。

1.倉庫作業員を熱中症から守るためには

倉庫は製造・流通の要であり、そこで働く人々の役割は重要です。作業員が快適に働き、ビジネスを支えていくためには、きちんとした熱中症対策をする必要があります。ここでは、倉庫内作業の従業員を熱中症から守るために知っておくべきことを解説していきます。

1-1.毎年多くの作業員が熱中症にかかっている

厚生労働省の統計によると、平成30年の熱中症による死亡者数は1500人を超えています。それ以前の年は、400~500人台でした。平成26年から平成30年までは、製造業・運輸業の熱中症による死傷者数の合計が1000人を超えており、これには倉庫作業員も含まれます。熱中症になりやすいのは高齢者や乳幼児と一般的にはいわれていますが、健康な成人でも体調が悪い日や、運動や作業の程度によっては熱中症になることがあるのです。7月と8月に発生するケースが多く、全体の約9割を占めています。

通常であれば、熱中症になったとしても、迅速かつ適切な対応をすれば命は助かりますが、職場での熱中症の場合、発見が遅れ、残念ながら死に至るケースも少なくありません。特に空調が効かない倉庫や工場では、熱中症の予防対策が急務となっています。ある事例では、復職したばかりの倉庫作業員が、午前中の荷降ろしを終えて休憩した後、歩けなくなって救急搬送され、その後、熱中症による多臓器不全で死亡したという報告があります。作業は空調の効いた屋内で行われ、飲料水サーバーも設置されていたため、熱中症対策を怠っていたわけではありませんでした。

熱中症は、日常生活の中で起こる「非労作性熱中症」と、運動や作業などの活動中に起こる「労作性熱中症」に大別されます。倉庫などで発生する熱中症は、間違いなく後者です。作業中に重傷者や死亡者が出た場合、企業が安全配慮義務に違反して労働者の安全を守らなかったことになり、労働者に対して損害賠償責任を負う可能性が出てきます。企業は、労働者の安全対策を検討し、作業環境を改善しなければなりません。熱中症のリスクを回避するには、他にどのような対策をすればよいのでしょうか。

1-2.倉庫内で熱中症が起こる原因

直射日光が当たらない屋内環境で熱中症対策を行っていたにもかかわらず、倉庫でも熱中症が発生することがあります。ここでは、高温多湿の環境である倉庫で熱中症が発生する原因について解説します。

1-2-1.省エネ意識による弊害

空調設備があっても、それを十分に使いこなせていない原因の一つに、光熱費の削減があります。この「省エネ」時代、エアコンの冷房設定は会社の規定で決められている場合もあるでしょう。また、電気代を安くするために、エアコンの設定温度を低くしているケースもよく見られます。社員の意識を高めるために「デマンド監視装置」を導入している企業も多く、光熱費削減はさらに拍車がかかっている傾向です。誰かが倒れてからでは遅いのですが「省エネ・節電」の時代の中で、厳しい労働環境にさらされている人が大勢いるのも現実です。

環境問題が叫ばれて久しいですが、省エネや節電だけを意識して過酷な環境での作業を強いるのは企業として問題があるでしょう。気温や湿度が高いときには、通常よりも温度を低く設定するなど、柔軟に対応しなければなりません。ただ、経営者の立場からすると、熱中症対策におけるランニングコストがかかりすぎるのも悩みの種です。働く人の安全とランニングコストの削減を両立できる空調システムを探す必要があります。

1-2-2.倉庫の構造上の問題

倉庫や工場内の温度が異常に高くなるのは、その構造に原因があると言われています。倉庫の建物に多く使われている折板屋根は、夏の炎天下では表面温度が70度近くまで上昇し、内部に熱気が滞留します。蓄積された熱は倉庫内に広がり、時間の経過とともに上昇していくのです。一般的に倉庫は仕切りがなく、天井も高いため、空調を設置しても効果が十分に発揮されない場合があります。また、倉庫は周囲に建物がない場所に建てられることが多く、周囲の建物による日陰がないため、広い屋根や倉庫全体が直射日光にさらされ、温度が上昇しやすくなります。

では、夏場の倉庫内の適切な温度はどのくらいなのでしょうか。厚生労働省は、肉体労働の強度に応じて「WBGT基準値」を設定していますが、WBGT(暑さ基準値)によると、倉庫内での作業に適した温度は26〜30度とされています。現実との差は歴然としており、その差を埋めるための企業努力や指導といった熱中症対策が急務となっています。

1-3.倉庫内での熱中症対策

空調があっても熱中症になってしまうケースは少なくありません。空調の有無にかかわらず、夏場の倉庫での熱中症対策には万全を期す必要があります。職場環境の改善はもちろん、作業員自身の健康管理や熱中症予防の意識を高めることが非常に重要です。倉庫での熱中症対策としては、以下のようなものがあります。

1-3-1.作業員の健康状態をチェック

倉庫で働き始める前に、作業員の健康状態をチェックします。高血圧や糖尿病などの持病があるかどうかです。そのような慢性疾患で薬を服用している場合、薬によっては利尿作用があったり、発汗や体温調節を妨げたりして、脱水症状や塩分不足になることがあります。また、熱中症の原因は病だけでなく、その時の健康状態も大きく関係しています。たとえば、風邪をひいていたり、睡眠不足だったりするときは要注意です。特に、下痢をしている場合は、脱水症状を起こしている可能性が高いのでリスクが高まります。前日にお酒をたくさん飲んでいる、あるいは朝食を抜いているといった場合も、熱中症になりやすいので注意しなければなりません。

該当する作業員には、熱中症対策として暑い場所での作業をさせない、短時間で仕事を終わらせる、休息を取らせるなどの配慮が必要です。また、作業員がめまい、頭痛、吐き気などの体調不良をすぐに報告できたり、誰かにすぐに対処してもらえたりする職場環境を整えることも重要でしょう。誰が責任者なのか、緊急の場合にはどのように連携をとるのかを一人ひとりに把握させることで、緊急時にも迅速な対応ができるはずです。熱中症は重症の場合は死に至ることもあり、回復しても後遺症が残る可能性があります。症状が出たとしても、応急処置をすることで最悪の事態を避けることができます。

1-3-2.水分補給をしっかりおこなう

熱中症対策において、水分補給が非常に重要であることはよく知られています。熱のこもる倉庫内での作業では、大量の汗をかくことで体の水分が特に失われやすい状態になることは言うまでもありません。「喉が渇いた」と感じるときは、すでに体内の水分がほとんど失われているため、汗による体温調節機能が崩れて熱中症の危険性が高まっています。そのため、喉の渇きを感じる前に、できる限りこまめな水分補給が必要です。また、作業中に汗をかくと、水分だけでなく塩分やミネラルも失われます。

熱中症を防ぐためには、ミネラルや塩分を含んだ飲料水を常備しておくことが効果的です。飲み忘れを防ぐために、水分補給をしたことを管理シートに記入したり、決まった時間に水を飲むことをルール化したりするとよいでしょう。

1-3-3.冷却機能付き作業服の着用

通常の作業服は、安全のために厚手で丈夫なものが多いのですが、通気性が悪く熱がこもりやすいのが難点です。熱中症対策としてコストはかかりますが、冷房機能を備えた「空調服」を導入するのも良いでしょう。空調服には小型のファンが付いており、服の中の空気を循環させて体温の上昇を防ぎます。ファンやバッテリーは作業服とセットで購入する必要があるため、商品によっても異なりますが、1着あたり価格は2万円前後です。

暑い環境下でも涼しく過ごせるので、作業効率が向上した事例も多く、導入する企業が増えています。メーカーやデザインも多種多様で、保冷剤入りのベストや、通気性のよいクールヘルメットなどもあります。倉庫内でも安全性がそれほど重視されない軽作業であれば、通気性の高いスポーツウェアで代用してもよいでしょう。

1-3-4.猛暑日の作業時間を調整する

熱中症の危険性が高い猛暑日には、作業時間を短縮するのも一つの対策です。長時間の連続作業を避け、時間を決めていつもより頻繁に休憩と水分補給をするのが効果的です。暑い休憩場所だと体をクールダウンできず熱中症になりやすくなってしまうので、涼しい休憩場所を確保する必要があります。また、労働者自身が適切に体を冷やせるように氷や冷たいおしぼりなどを用意しておいたり、手軽にいつでも水分や塩分を摂取できるように飲料を設置しておいたりするのも良い対策です。

より安全なのは「暑熱馴化」を行うことです。暑さに慣れるためにも、初夏には勤務時間を調整したほうがいいかもしれません。梅雨が明けて急に暑くなる時期は体が暑さに慣れていないので、労働時間を全体的に短くします。また、環境に慣れていない従業員には、それらに加えて、まずは負荷の低い仕事をさせるなどの対策をとるようにしましょう。

2.倉庫内の熱中症対策に大型冷風機が有効

倉庫に空調設備がない、あるいはあっても冷却効果が十分でない場合は、大型冷風機の導入がおすすめです。なぜ大型冷風機が倉庫内の熱中症対策に有効なのか、その理由を解説します。

2-1.大型冷風機の特徴

業務用の大型冷風機は、気化熱を利用して冷たい空気を作り出します。打ち水をすると涼しくなったり、お風呂上りにそのままでいると体が冷えてしまったりするのが気化熱による原理で、その自然原理を利用して涼しい風を送り出すのが気化式冷風機です。具体的には、フィルター(冷却エレメント)の水が空気に触れることで気化し、大型ファンが熱を失った低温の空気を送り出すという仕組みになっています。気温や湿度に応じて、室温マイナス6〜9度で送風されますが、大型ファンから吹き出される大風量により、体感温度は吹き出し温度よりもさらに涼しく感じられ、熱中症対策として非常に効果的です。

サイシュウテクノの「ストロングクール」は、単相100Vの家庭用コンセントで使用可能です。キャスター付きで自由に移動でき、設置工事も不要です。また、エアコンのような排熱システムもないので、場所を選ばず使用することができます。換気をしないと湿度が上がるという特性がありますが、湿度が上がることで保湿され、乾燥を防ぐことができます。湿度が気になるという場合は、外気を取り入れやすいドアや窓の近くに置けば、湿度の上昇を抑える効果が期待できます。

貯水タンクは最大145Lまで貯めることができ、満タン時には8時間連続で使用できますが、作業中に水がなくなったら水を補充しなければならないので、稼働時間と作業時間を考慮する必要はあるでしょう。1日(8時間)あたりのランニングコストは192円です。これは20畳用ルームエアコンの半分以下の消費電力量であり、省エネ・節電対策にもつながります。大型冷風機もデメリットがないわけではありませんが、働く人の安全かつランニングコストの削減を両立できる空調システムであるといっていいでしょう。

2-2.大規模倉庫なら涼風プランがおすすめ

大型倉庫の場合は、大型の冷却機を使って局所的に冷やす方法もあります。熱中症対策として倉庫全体の温度を下げたい場合は、冷風機と換気扇を効果的に組み合わせて倉庫を快適な空間に変える、サイシュウテクノの「涼風プラン」がおすすめです。これは、気化熱の原理を利用して外気を冷気として取り込み、倉庫内にこもった熱気を補正して排出する循環型の空調システムになります。高い屋根でエアコンが効かない場合でも、低コストで涼しい作業環境を作り出す空調システムです。

主な動力源はファンモーターと小型ポンプのみで、エアコンに比べて大幅な省エネを実現しています。大掛かりな設備や専用の機械室は必要なく、本体のみで冷気を作り出すため、どこでも自由に設置することができます。導入コストが低いだけでなく、メンテナンスも簡単でランニングコストを気にする必要もありません。導入コストとランニングコストの両方を抑えながら、抜群の冷却効果が期待できます。

倉庫内の熱中症対策はサイシュウテクノにおまかせ!

熱がこもった倉庫内での作業は、熱中症のリスクが高くなります。毎年多くの作業員が熱中症になり、死亡例もあるため、確かな対策が必要です。熱中症対策にはさまざまな方法がありますが、中でも効果的なのは、低コストで設置できる大型の冷却機です。効果的な熱中症対策を取り入れたい、倉庫全体をクールダウンさせたいということであれば、サイシュウテクノの「涼風プラン」をぜひ検討しましょう。

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