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夏場でも作業効率を落とさない!工場の暑さ対策を徹底解説

日本の夏は昔より暑くなったといわれることが多く、だんだん気温が上昇しているという傾向もあります。工場の屋内で作業する場合でも、屋外と同じぐらい暑くなるケースもあるでしょう。そうなると作業効率は落ちますし、場合によっては熱中症になってしまうかもしれません。このようなリスクを踏まえ、暑さ対策を十分に行うことが大事です。そこで今回は、なぜ工場内が暑くなるのか説明し、解決に役立つ設備やグッズも紹介します。

1.40℃を超える場合も?工場が暑い理由

工場内の温度は、天候や扱う製品などによっても変わるので一概には言えませんが、ピーク時に関しては40~45℃ぐらいに達するところが多いといわれています。たいていの工場において、それほど暑くなる原因として大きいのは建物の構造でしょう。たとえば、鉄製の屋根は日差しを受け続けると、70℃ほどに熱せられることも珍しくありません。鉄は熱を伝えやすく、遮熱や断熱の処理をしていなければ、工場内の温度もその影響で上がることになるのです。また、一般的に工場内は通気性が良くないので、熱がこもりがちなことも関係しています。日中に温度が上昇した空気は、夜間になっても工場内に留まりやすいです。

それらの問題を解消するために空調を設置しても、必ずしも十分な効果を得られるとは限りません。なぜなら、面積が広いうえに天井も高く、全体の気温を期待どおりに下げるのは難しいからです。また、ヒートアイランド現象の影響によって、工場が暑くなっているケースも見受けられます。都市部や開発が盛んな郊外に工場がある場合、周辺の地面はアスファルトであることが多いです。さらに、作業現場もコンクリートという工場がよくあり、このような環境では溶接作業などの際に著しく暑くなりかねません。上記の理由やその組み合わせによって、夏場の工場内は温度が高くなります。

2.まずは熱中症対策を万全に

工場に暑さ対策を期待している従業員は多いでしょう。しかし、暑さ対策を行えるのは工場側だけではありません。従業員自身でも熱中症予防として取り組める事柄があるので、まずはそれらを各人が行っていく必要もあります。暑い工場内では汗をたくさんかいてしまうので、水分をこまめに補給することが不可欠です。さらに、塩分を定期的に取ることも大きなポイントになります。なぜなら、汗をかくと水分と一緒にナトリウムも体内から排出されてしまうからです。塩分を含んだ飴をなめるという方法もありますが、経口補水液を飲むと水分と一緒に効率よく摂取できます。

継続的に熱中症対策をしたいなら、コップ1~2杯のスポーツドリンクを20分に1回程度の割合で飲むようにしましょう。また、熱中症の起こりやすさには体調や疲労度も関係するので、少なくとも1時間に1回は休憩することが望ましいです。また、暑いからといって冷たすぎる飲み物を飲むのは良くありません。体調を崩す原因になりかねないので、飲み物を冷やす際の目安は10℃前後にしておきましょう。なお、熱中症の症状を把握しておくことも重要です。代表的な初期症状としては、口内の乾きや脈拍の上昇、排尿の回数の減少などが挙げられます。これらの兆候が見られたら、急いで水分や塩分を補給しなければなりません。

3.夏でも働きやすい環境を!工場の設備による暑さ対策

従業員が個人で行える暑さ対策には限界があります。そのため、快適な職場環境を実現するには、工場自体の設備を整えていくスタンスが必要です。ここでは、工場側の観点から暑さ対策について説明します。

3-1.遮熱シートや遮熱塗料

暑さ対策の設備が必要だとわかっていても、予算不足などの理由でためらってしまう場合もあります。遮熱シートや遮熱塗料を使用する方法はコストが比較的低いので、そのようなケースでも実施を検討しやすいです。遮熱シートを工場の屋根などに取り付けると、太陽光によって発生する熱が建物内部に伝わることを防げます。わかりにくければ、夏場に自動車にかけるシートをイメージすると良いでしょう。一方、遮熱塗料には、太陽光に含まれる赤外線を反射するという特性があるのです。これを屋根に塗装すると、屋根が吸収する熱量を少なくできます。また、遮熱塗料の遮熱性能は色によって異なり、白系統は赤外線の反射率が特に高いです。

なお、前述のように、遮熱シートと遮熱塗料を使うと出費を抑えやすいですが、一度の取り付けや塗装で永続的な暑さ対策を行えるわけではありません。たとえば、遮熱塗料の一般的な耐用年数は10~20年です。長期的には張替や塗替といった作業が必要なので、初期費用だけでなく、ランニングコストがかかる点も理解しておきましょう。

3-2.屋根用スプリンクラー

屋根は温度が顕著に上がりやすい部分なので、それ自体を冷やす設備を導入することも効果的なアプローチになります。具体的には、屋根用スプリンクラーを設置することで暑さ対策が可能です。この設備は屋根の上で水を噴射し、蒸発という物理現象を利用することで屋根の温度を下げます。液体が気体になるには、状態変化に必要な熱を吸収しなければなりません。その熱を屋根やその上の空気から奪うため、水が撒かれた一帯は涼しくなるというわけです。つまり、玄関先で行われる打ち水などと同じ原理が使われています。

また、屋根用スプリンクラーは水を噴射するだけの設備なので、基本的に構造はとてもシンプルです。それゆえ、スムーズに取り付けやすいため、多くの工場ではわずか1日で工事が完了するでしょう。なお、こちらに関しても、ランニングコストが発生する点に注意しなければなりません。設置時に工事費を支払った後も、稼働させている限り、水道代や電気代がかかり続けることになります。さらに、撒いた水が悪影響を及ぼして、屋根の材質が劣化してしまうリスクもあるのです。したがって、屋根のメンテナンスにかかる費用も視野に入れておく必要があります。

3-3.シーリングファンなどの大型扇風機

工場内部に設置する暑さ対策の設備として、大型扇風機が挙げられます。業務用の大型扇風機は、家庭用の製品とは比べ物にならないぐらい羽が大きいです。それが回転することで強い風を生み出せるので、暑さ対策を目的として導入している工場は少なくありません。このような大型扇風機のメリットは、価格が安いことや排熱が発生しないことです。基本的には、モーターにしか電力を使わないので光熱費が安く、エアコンと比べるとランニングコストを抑えられます。

一口に大型扇風機と言っても、床置きタイプや三脚タイプなど種類が豊富です。天井に取り付けるタイプはシーリングファンと呼ばれています。シーリングファンは風を対象に当てて直接冷やすのではなく、工場内の空気を循環させるために設置されることが多いです。そのため、エアコンと相性が良く、うまく運用することで工場全体に冷気を広げられます。一方、大型扇風機の導入において注意を要するのは、風によって埃が舞いやすくなることです。食品を製造している工場など、衛生管理が厳しいところには向いていません。精密機器も埃の混入が不具合につながるため、そのような製品を扱っている場合も設置できない可能性があります。

3-4.スポットクーラー

スポットクーラーは、空間全体を対象とするのではなく、局所的に温度を下げるための設備です。冷たい風を当てることで、そこだけをピンポイントで冷やせます。固定されていないエアコンのような存在であり、状況に応じて移動できることが大きな魅力です。生産強化のために従業員が集まっているラインがあれば、その近くに運んでくるなど、稼働させる場所を臨機応変に変更できます。設置する際の工事は不要であるため、工場に届いた日からさっそく使い始めることも可能です。エアコンを取り付けにくいような場所でも、問題なく運用していけます。

また、スポットクーラーは、貸し出しを行っている業者が多いという特徴もあります。そのため、夏だけレンタルして利用するのもひとつの手です。そうすれば、使わない季節のために、わざわざ保管場所を確保する必要はありません。メンテナンスも業者が行うので手間が省け、夏になるたびに万全の状態のスポットクーラーを使用できます。なお、スポットクーラーの構造は、基本的に室内機と室外機の一体型です。室外機だけを外に置くことはできないため、排熱に関してよく検討しなければなりません。

4.これでもう暑さには負けない?工場の暑さ対策に有効なグッズ

工場の暑さに困っているなら、グッズを使用して解決することも考えてみると良いでしょう。ここからは、暑さ対策用のグッズのうち、特に効果が期待できるものを紹介します。

4-1.接触冷感タイプのコンプレッションウェア

作業時に着るインナーも、体感する暑さに大きな影響を及ぼします。コンプレッションウェアは、複数の面で暑さを軽減できる優れものです。これは伸縮性のあるウェアであり、着用すると体にフィットします。水分を吸収するだけでなく、すぐに放出する素材で作られていることも大きな特徴です。この素材の働きによって、生地が汗のせいで張り付いたり、汗が肌に残り続けたりすることを防げます。したがって、発汗が多いときでもあまり不快感は強くなりません。さらに、接触冷感の素材を使っている製品が多いことも特徴となっています。ひんやりとした肌触りなので、暑い環境でも良好な着心地のキープが可能です。

また、ストレッチ素材が採用されているため、肌に密着していても動きを邪魔することはありません。それどころか、適度な加圧によるサポート機能があり、筋肉のブレや関節にかかる力を抑えてくれます。よって、工場における作業の負荷が軽減され、長く働いても疲れにくくなることを見込めるのです。体のコンディションが保たれるとスムーズに作業しやすいので、心拍数や体温が上がることも防ぎやすくなります。コンプレッションウェアにはこれらのメリットがあるため、工場の温度自体は同じでも、着用によって暑さの影響を小さくできるでしょう。

4-2.即効性に優れたお手軽冷感グッズ

暑いと感じたタイミングですぐ対処できることもポイントになります。それゆえ、即効性を重視して、お手軽冷感グッズをいくつか持参しておくのが望ましいです。そのようなグッズの代表的なものとして、ボディシートが挙げられます。汗を拭きとることで不快感を軽減できますし、冷えるような感覚をシートの成分が肌に与えてくれるのです。また、ひんやりと感じる特殊な素材で作られたタオルやマフラーも役に立ちます。大きいものではないので、いずれも作業の邪魔になることはないでしょう。タオルタイプは汗をさっと拭くだけでも爽やかな清涼感をもたらします。マフラータイプは、巻いておくだけで首元を涼しい状態に維持できるので便利です。

さらに、洋服や靴下に吹き付けて冷感を得られるようにするスプレーもあります。とても手軽に使用できますが、持続時間があまり長くない点に気をつけなければなりません。休憩のたびに吹き付けるなど、定期的に使用することを念頭に置いておく必要があります。このようにグッズごとに特徴が異なるため、柔軟に併用や使い分けができると、夏の暑さを乗り切りやすくなるでしょう。

4-3.小型ファンで快適に作業ができる空調服

背面に小型のファンを搭載している作業服も、暑さ対策によく用いられています。これは空調服と呼ばれるもので、ファンによって送り込まれた空気が服の内側で循環することにより、清涼感を得られる仕組みです。汗はすぐに蒸発し、気化熱の原理で体温を下げられます。蒸発した汗を含む空気は、最終的に首元や袖口から出ていくので、服の内側に湿気がこもることはありません。バッテリーが供給する少しの電力でファンが回転するため、エアコンよりも格段に省エネであることもメリットです。ファンやバッテリーがあるぶんだけ普通の作業服より重いですが、たいていの人にとっては作業に支障をきたすほどではありません。

ただし、空気を取り込んで膨らんだ空調服は、作業の邪魔になる可能性があります。たとえば、手首付近まで膨らんでいると、手元で細かいパーツを扱いにくい場合もあるでしょう。このケースに関しては、ベストタイプや半袖の空調服を着用することで解決が可能です。また、コストの面で空調服を選びにくいと感じる人もいます。製品によって値段は異なりますが、2万円程度のものが一般的であり、暑さ対策のグッズとしては高価です。なお、埃や粉塵が舞っている工場では、ファンがそれらを取り込んで故障するリスクもあるので注意しましょう。

工場の暑さは設備次第!スポットクーラーの利用も検討してみよう

工場が暑ければ、そこで働く従業員のモチベーションは低下し、生産性もダウンしやすいです。各人が暑さ対策を行うことも大事ですが、工場の設備を整えることが根本的な解決につながります。設置したエアコンの効果があまりない場合や、そもそも設置すら困難な場合は、スポットクーラーの導入を検討するのが得策です。スポットクーラーならスムーズに設置できますし、十分なクールダウンによって快適な環境を実現できるでしょう。

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