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体育館にエアコンを設置するには?メリット・デメリットを解説

夏場に活動する際は、屋外でも室内でも熱中症対策が欠かせません。特に体育館は熱気がこもりやすく、熱中症にかかってしまう危険性が高い場所です。そのため、体育館の熱中症対策としてエアコン設置を検討している学校関係者も多いのではないでしょうか。そこで今回は、体育館にエアコンを設置することに関して、その必要性やメリット、デメリットなどを詳しく解説します。

1.体育館にエアコンを設置する必要性

学校の規模にもよりますが、ほとんどの体育館は非常に広い空間を備えているものです。床面積が大きく、天井も高いため、エアコンを設置するとなるとかなり大きなコストがかかってしまうでしょう。実際、学校関係者の中には、そのような莫大なコストをかけてでも、体育館にエアコンを設置する必要性が本当にあるのか疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。そこでこの段落では、体育館に空調設備を整備する意義について詳しく説明します。

1-1.近年の夏の暑さ

近年は地球温暖化が叫ばれて既に久しい時代です。実感として夏が暑くなったことを感じている人も多いかもしれませんが、実際のデータにおける夏の気温は以前と比べてどうなっているのでしょうか。世界で詳細な気象データが記録されるようになったのは、だいたい1800年代の後半からです。そのデータによれば、1800年代後半に比べて、世界の平均気温は100年ごとに0.72℃上昇していることがわかっています。0.72℃程度だと小さい数字のように感じますが、これは世界全体の平均値に過ぎません。気温の上昇が著しい北半球の中緯度に位置する日本では、温暖化の影響が諸外国より大きいとされているのです。

実際、気象庁が発表しているデータによれば、日本の平均気温はこの100年で1.26℃上昇したと算出されています。特に都市部はヒートアイランド現象によって気温の上昇幅が大きく、東京ではこの100年で平均気温が3.2℃も上昇したというデータが公表されています。こうしたデータを参照すれば、近年は単なる実感ではなく実際に気温が上昇していることがわかるはずです。また、ウェザーニュースによると、2021年の夏の気温は平年並みか平年より少し高く、全国的に見ても猛暑になると予想されています。平均気温の上昇傾向はしばらく続くとも予想されているため、学校現場でも早急な暑さ対策が必要だといえるでしょう。

1-2.熱中症のリスク

平均気温が上昇しているということは、熱中症のリスクも高くなっているということです。空調設備のない夏場の体育館は特に高温になります。体育館は直射日光で建物が温められ、室温が高温になる傾向があります。しかも、通気を行っても外気温が高く熱がこもりやすいため、もともとの高温に拍車がかかったような状態になってしまうのです。そのような環境下で部活動などの課外活動を行えば、熱中症のリスクは当然高まります。活動の時間を短縮したとしても、それは抜本的な熱中症対策にはなりません。

なぜなら、短時間の活動でも熱中症を発症してしまうことがあるからです。死亡した例も多く報告されているため、空調設備のない体育館で激しい運動を伴う課外活動を行うのは非常に危険な行為だといえます。また、温暖化が進めば台風や大雨などの自然災害も増える傾向にあります。地域で災害が発生した場合は、学校の体育館を緊急避難場所として指定している自治体も多いでしょう。その場合、体育館に空調設備が整っていないと、避難してきた市民が熱中症を発症してしまう恐れがあります。

体育館は地域に住む市民が利用する施設でもあるだけに、さまざまな事態を想定して準備を万端にしておかなければなりません。体育館にエアコンを設置しておけば、大きな災害といった万が一の事態が発生しても、安心して施設を利用してもらえるのです。

2.体育館に設置するエアコンの種類

体育館のような大空間を空調するためには、高い機能と出力を有したエアコンを設置しなければなりません。実際、体育館に設置されるエアコンは、家庭用のエアコンとは異なる仕様や設計で作られているものがほとんどです。ここでは、体育館に設置される代表的な業務用エアコンの種類について紹介します。

2-1.エアハンドリングユニット

業務用エアコンの代表例として、まずエアハンドリングユニットという種類が挙げられます。エアハンドリングユニットとは、主に大空間の空調を目的として作られた空調機器です。体育館の他、オフィスや商業ビル、工場、病院などの大施設で採用されているモデルでもあります。「エアハン」という略称で親しまれ、空気調和機(空調機)と呼ばれることもある最も一般的な業務用エアコンのひとつです。

エアハンドリングユニットは、建物の規模に合わせた最適な空調を実現するために、オーダーメイドで作られるのが基本です。エアハンドリングユニットには、冷温水式エアハンドリングユニットと直膨式エアハンドリングユニットの2種類があります。冷温水式エアハンドリングユニットは、外部熱源設備から冷水・温水・蒸気等の供給を受け、温度や湿度を調整した空気を送り出すという仕組みになっています。一方、直膨式エアハンドリングユニットは空冷ヒートポンプ室外機と組み合わせる空調機です。室外機から直接冷媒が供給されるため、冷温水配管が必要なく、自動制御が簡素化されている点に特徴があります。

体育館にエアハンを設置する場合、オプションのインバーターを追加すればリモコンで空間の50%だけを空調できるようにすることなども可能です。また、バトミントンのように、競技によってはエアコンの風が直接当たると競技の進行に不都合が生じるケースがあります。その場合も、エアハンであれば対応可能です。競技しているエリアのダンパーを閉じて風の吹出や吸込をしないように調整すれば、体育館内で風の当たり具合をコントロールすることができ、競技の進行を邪魔しません。風が当たらないと暑さが心配になりますが、あらかじめ体育館全体の温度を調整しておけば、風が当たらなくても快適な環境で競技を進行することができるでしょう。

2-2.設備用パッケージエアコン

設備用パッケージエアコンは、比較的小さなシステムで大空間の空調を効率的に行える業務用エアコンです。オーダーメイドが基本のエアハンに対して、設備用パッケージエアコンは既製品です。その分、工事も最小限で済ませることができ、コストも比較的安価に抑えやすい点に特徴があります。設備用パッケージエアコンには、床置直吹形や床置ダクト形、天井埋込ダクト形、室内機と室外機の一体形などのように、いくつかの種類があります。

いずれの種類も、学校やオフィスなどにおいて各フロアの空調設備として使われることが多いですが、体育館のような大空間にも十分対応が可能です。冷房兼用の空冷タイプと冷房専用の水冷タイプがあり、前者は最大60馬力、後者では最大80馬力の出力を発揮できるタイプもあります。また、ダクトの吹出口位置などを変えられるため、風を送りたい場所、送りたくない場所に合わせて送風を調整することも可能です。送風によって影響が出てしまう競技の場合、風向を変えられるエアコンが必須となります。設備用パッケージエアコンなら、そうした要求にも十分応えてくれるでしょう。

3.体育館にエアコンを設置するメリット

文部科学省が実施した調査によると、令和元年9月1日時点における公立小中学校の体育館空調設置率は3.2%に過ぎません。そうしたなかで、設備を急いで導入するメリットはどこにあるのでしょうか。以下、体育館にエアコンを設置するメリットについて詳しく説明します。

3-1.夏場の課外活動をおこないやすくする

体育館にエアコンを設置するメリットには、まず部活動時の熱中症対策に有効だという点が挙げられます。夏場の部活動は、熱中症が発症するリスクを常に抱えているといえます。実際、中学や高校で発生する熱中症事例のうち、運動部活動時によるものが実に約7割を占めるというデータもあるほどです。これは、学校で発生する熱中症の大部分が部活動に起因するものだということを示唆しています。体育館にエアコンを設置することは、少なくとも屋内競技における熱中症事故を防ぐ最も有効な手段のひとつです。

熱中症は温度と湿度が高い環境下で発症するリスクが増大する症状です。体育館に空調設備が整っていれば、運動するのに適切な温度と湿度を維持できるため、熱中症のリスクを大きく下げることができます。また、空調設備が整っているかどうかで、部活動のパフォーマンスに影響を与える場合もあります。空調設備が整備されていない体育館の場合、熱中症を防ぐために、負荷の大きいトレーニングを制限したり、練習時間や時間帯に制約をかけたりしなければなりません。特に夏場は大きな大会を控えている部活動も多いなか、制限の課せられた環境下で練習しなければならない状況は、生徒にとっても大きなストレスの種となるでしょう。

もちろん、空調が効いている施設内であっても、過度な運動をおこなえば熱中症のリスクはありますが、それでも空調設備があるとないとでは練習を実施するにあたって大きな違いがあります。空調が効いていれば、しっかりした練習時間を確保できるでしょうし、快適な空間で練習すれば、トレーニングの効率や効果も大きくなるはずです。それが部活動全体のパフォーマンスを高め、結果としてその後の大会で好成績を上げる望みも増すことになるでしょう。熱中症のリスクが軽減すれば、生徒はもちろん、指導者や保護者にも安心感を与えられるので、体育館へのエアコン設置はさまざまな人にメリットのある取り組みなのです。

3-2.災害時に過ごしやすい避難場所を提供する

大地震や台風、豪雨による水害時など、体育館は災害が発生した際の避難場所としても使われます。しかし、夏場の災害避難所では、熱中症の発症リスクが高くなるといわれています。大人数が密集する空間は温度や湿度が上昇しやすく、しかも避難してくる人のなかには幼児や高齢者といった体力のない人も含まれるため、どうしても熱中症のリスク要因が増大してしまうのです。

また、高温多湿の環境になりやすい夏の避難所は、布団や床にカビが生えてしまうことも少なくありません。夜間に窓を開けると蚊も入ってくるので、避難所では満足な休息が取れないこともあります。慣れない避難生活で特に疲弊している人も多いので、避難場所を提供する側としては、なるべく過ごしやすい環境を整えてあげることがせめてもの救いとなります。

避難所となる体育館に空調が整備されていれば、まず避難者の心理的・肉体的な不安を和らげることができでしょう。熱中症の予防にも役立ち、日常の生活になるべく近い環境を提供することにもなるので、避難民の精神衛生にも寄与します。ただし、多くの人が密集するため、設置されているエアコンの出力によっては満足な効果が得られないことがある点には留意が必要です。また、災害によって大規模な停電が発生している場合は、そもそもエアコンの運転ができなくなってしまうため、万が一に備えて発電装置の設置なども考えておく必要があるかもしれません。

4.体育館にエアコンを設置するデメリット

一昔前までは、体育館どころか教室にもエアコンが設置されていませんでした。その背景には、「暑さや寒さに耐えてこそ一人前の人間が育つ」といったような考え方があったことも事実でしょう。熱中症の危険性がしきりに叫ばれるようになった近年でも、そのような論調で体育館にエアコンを設置するデメリットを唱える先生や指導者もなかにはいるかもしれません。しかし、そういう論調とは違った側面で、体育館にエアコンを設置するデメリットはあります。そこでこの段落では、具体的にどのようなデメリットがあるのか、詳しく検証してみます。

4-1.設置費用・ランニングコストがかかる

体育館は広い面積だけではなく、高さもある非常に広大な空間です。そのような大空間にエアコンを設置する場合、十分な効果を得るためには高出力タイプの設備を導入しなければなりません。ハンドリングユニットを採用するか、設備用パッケージエアコンを採用するかにもよりますが、体育館の大きさ次第ではいずれにしても大規模な空調システムの導入が不可欠となるでしょう。そうなれば、エアコンを設置するだけでも数千万円のコストが発生することになります。東京都教育委員会の資料によれば、1枚あたり天吊り型設置で5700万円、据置型設置で2200万円の費用がかかると算出されています。

しかも、ここには電気配線の工事は含まれていないため、実際の設置費用はさらに高額となるでしょう。ただ、こうした高額の設置費用を抑える方法もあります。そのひとつが、リース契約できる業者を選ぶことです。リース契約であれば、設備を長期間借りるという建前になるため、設置費用を大幅に抑えることが可能です。しかも、リース期間後は設備を無償で取得することもできるので、財政負担を数年にわたって分散できるというメリットもあります。もちろん、エアコンの設置には導入費用だけではなくランニングコストもかかります。それはリース契約で導入した場合も例外ではないので、導入する際は維持管理費や電気代もしっかり視野に入れた計画が何より大切です。

4-2.公立学校の独断で設置するのは難しく時間もかかる

公立学校の場合、現場がエアコンの導入を考えていても、独断ですぐに実現するのは難しいという側面があります。公立学校にエアコンを設置するかどうかを決めるのは教育委員会であり、その予算を決めるのは地方議会です。現場がいくら必要性を訴えても、教育委員会や議会が承認しなければ設置はできないのです。ただ、地方議会によっては、体育館のエアコン設置を推進する議員もおり、エアコン導入に追い風となる要素もあります。文部科学省も近年の気温上昇傾向や熱中症の発生状況を鑑みて、空調整備事業へ最大2億円の補助金を出す決定を下しているなど、体育館に空調を導入する機運は高まっているともいえるでしょう。

とはいえ、当事者が要望を出し、教育委員会や地方議会がそれを吸い上げて設置に動いてくれるとしても、実際にエアコンの運用が開始されるまでには相応のタイムラグが発生します。設置される頃には、当事者だった生徒や先生、指導者は卒業したり転勤したりしている可能性もあるでしょう。それだけ公立学校の体育館にエアコンを設置するにはかなりの時間がかかるということです。

体育館のエアコン設置が難しいなら大型冷風機がおすすめ

学校の体育館は、緊急時の避難場所ともなる公共施設のひとつです。年々夏が暑くなり、熱中症の危険性も高まっているからこそ、生徒たちや地域住民のためにも体育館のエアコン設置は急務の事項として進められていくべきです。サイシュウテクノの大型冷風機は低コストかつ工事不要で最短0日で導入できます。一日レンタルも可能なので、今すぐ空調設備が必要ならぜひ相談してみましょう。

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